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社会保障と(消費)税との一体改革の虚実 [Social Policy]

2012年度の消費税収は,国税4%と地方税1%を合わせて13兆円です.

さらに国税分の29.5%が地方交付税交付金に回りますから,国分は56.4%,7.3兆円にとどまります.

他方,消費税を充てると公言されている,基礎年金,老人医療介護は,今年度予算15.1兆円で,これは毎年1兆円の規模で膨張しています.

今回,難産の末,社会保障と税の一体改革が成立してしまいましたが,「近いうち」の総選挙では,民主党は最大政党の座をおそらく10中8,9の確率で滑り落ちるでしょう.その場合,消費税引き上げの時期が先送りされる可能性もあると考えます.

前にも書きましたが,「社会保障と税の一体改革」というスローガンは,ほとんど意味のないものだと思うのです.
何故なら,消費税を引き上げた増収分は,その分だけこれまで社会保障に回っていた国税をフリーにしますから,それを公共事業その他の国の事業に回す事が可能になる訳で,消費税を社会保障に回すというのはまやかしもいいところです..

そもそもわが国には,GDPの200%という国債発行残高があり,これは先進国中最高の数字です.そのため,毎年の予算のほとんど1/4の24.3%(債務償還費13.4%+利払費等10.9%)がこの借金の償還と利払いに費消されているのです.

因みに,EU諸国では,国債残高をGDPの5%以内に抑制することを目標としているのです.ギリシャ,スペイン,イタリアが厳しい金融査定を受けて,公務員費や社会保障費の緊縮に追い込まれているのは,高い国債残高の故なのです.

日本の場合,国債発行額の95%が国内で保有されているので,海外から売りたたかれる心配はないというのですが,国内保有額の相当部分は,景気低迷で優良投資先に事欠いている日本の金融機関が保有しているといわれます.

その状況では,もし日本の長期金利が何らかのキッカケ(たとえば成長率が低迷する失われた20年が30年,40年に及ぶ予測が強まって)で高騰しますと,固定金利の国債の価格は暴落する危険があります.そうなると大量の国債を保有にする日本の金融機関の財務体質は一挙に悪化し,格下げの嵐に襲われるでしょう.それはギリシャの例に見るように,日本経済の破綻に連なります.

長期的に考えますと,当面,日本政府がやるべきことは,ひたすら異常に高い国債残高を縮小させることにあると思われます.

社会保障はツケを将来に回して存立しているといわれますが,実は将来にツケを回している最大の元凶は,将来,返還を迫られる国債にあるというべきなのです.

この状況下で「社会保障と税の一体改革」が強行されましたが,消費税の引き上げは3%にしろ5%にせよ,当然に,国民消費を抑制しますから,,それを回避すべく価格上昇を生産性向上で吸収できない中小企業は,販売額の縮小→経営破綻に見舞われかねません.

既に,相当数の大企業の下請け企業が,大企業諸共アジア諸国に進出している実態がありますが,消費税引き上げは,さらに日本の生産業の国内空洞化を招くことに連なるでしょう.

失われた20年は取り返しようがありませんが,少なくとも将来に向けて生産性を向上させ,国内産業が海外と対等に競争する力を涵養し,GDPを継続的に成長させていくのでないと,日本の国債債務残高は急速には減らしようがないでしょう.

「社会保障と(消費)税の一体改革」は,容易に,「社会保障と国家財政」の緊縮を迫られる事態に直結しかねないことを,たいへん危惧するものです.


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