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生活保護行政は国の直営制度に転換を! [Social Policy]

ある有名芸人の母親が生活保護を受けていたことが大きな話題になり.厚生労働省が生活保護法を締め付けの方向に改訂するという報道がありました.
3年前から国民年金の国庫負担率を1/2に引き上げて,社会保険と生活保護の区別を曖昧化して置いて,今更,ミーンズ・テストを伴う生活保護を引き下げるというのは,一体全体,どういう社会保障観に立っているのでしょう?

私はこんなに軽々しく法執行のあり方に問題があったと自認する厚生労働大臣に,大きな驚きを禁じ得ません.どうして「実態をよく調査して検討します」といった常套手段を使わなかったのでしょうか.

日本の生活保護行政は,戦前の内務省的感覚を引きずって,長い間,地方自治体への機関委任事務にされてきたのですが,近年,地方分権化が重視されて,中央集権的な機関委任事務制度が廃止され,法定受託事務という,分かったようで分からない制度に切り替わり,半面で国庫負担率は低下した筈です.

機関委任事務時代に積み重なった膨大な次官通逹,局長,課長通知(最も悪名をはせたのは一介の課長通知123号)は,機関委任事務ではなくなった時点で,本来なら全部整理されるべきだったのでしょうが,なんとなく生き延びているようで,今回の「扶養義務」問題で「原則に反する」といった議論の根拠も,まさにその名残の幽霊の1例だと思います.

しかし,これだけ社会意識,規範意識が個人主義の方向に変化してきたなかで,本来,私法関係でアル扶養義務問題を,はたして,扶養能力中心だけで云々すべきモノなのでしょうか.

アメリカのObama 大統領の最大の成果といわれるHealth Insurance いわゆるObamacare は,今月下旬に予定される連邦最高裁判所の違憲訴訟判決に成否がかかっていますが,これまでの成果のひとつに,成人年齢が18歳のアメリカで,若年層の無保険者が多いことへの対策として,25歳までの青年男女は親の健康保険に組み込むことが可能とする内容を盛り込んで,この年代の健康保険加入者率を大幅に増大させたということがあります.(繰り返しますが,総ては連邦最高裁のObamacare 違憲合憲判断にかかっています.)
しかし,そこでは子供名義の保険に親を加えるという発想は初めから見られないのです.

なお,当該事例では遡って受給額を返還するということですが,行政法上は不利益変更を遡及して行うことは出来ないのが原則ですから,せいぜい事態が明るみに出た月に保護を廃止するということで良いのではないでしょうか.

そもそも,生活保護の現下の最大の問題点は,むしろ「受給資格がありながら受けようとしない人(現実に受給している人の数倍!の漏救問題)」および「福祉事務所がなんのかんの(例えば「親兄弟や子供に連絡をしますよ!」)といって,本来受給資格のある人を尻込みさせ,別の表現をすれば,申請を門前払いする例が少なくないといった問題にあるからです.

私は,かねてから,生活保護は,国からの法定受託事務から,国の地方機関を活用した国直営事務に転換すべきだと主張して来ました.
法定受託事務は次の場合に認められるモノです.
●全国単一の制度又は全国一律の基準により行う給付金の支給等に関する事務で以下に掲げるもの
生存にかかわるナショナル・ミニマムを確保するため、全国一律に公平・平等に行う給付金の支給等に関する事務

それは全国一律に公平・平等に行うべきモノですから.そのベストな選択は,本来,国が直営すべき事務というべきです.
現にイギリスでは今はTax Dredit 制度ですが,戦後一貫して国の行政ですし,アメリカでは連邦ではなく州の行政です.

そこで,わが国でも,具体的には,高齢者,障害者や医療給付は社会保険事務所で,勤労世代はハローワークで国が直接処理すべきです.
国の直営化に当たって,是非,採用すべきは,イギリスやアメリカで見られるようなDeclaration system の導入です.

イギリスを例に挙げれば,申請は,郵便局に置いてある簡易な申請用紙に記入して郵送すればそれで申請手続き完了です.まずは,declaration に従って給付を始めてから,Means test に入るという手順です.Tax Credit (Universal creditに変更予定)ですから,所得情報は得られやすいということがあります.

日本でもそれに習って国直営化してから集められる窓口からのさまざまな事例や多様な意見を集約した上で,初めて厚生労働省は,机上の空論ではなく,生活保護法やその給付水準そして運用面の改正を論ずる知見を持てるだろうと考えるモノです.
それは隠れ蓑として悪用されてきた学識経験者の審議会より,よほど実効あるフィードバックとして有効でしょう.

地方自治体で,当然に,大きな差があるなかで,何か特殊なトピックに飛びついて締め付けを考えるなど論外ですから,性急な制度改革議論の前に,先ず,厚生労働省が生活保護を直営化し,全国的規模で生活保護法の問題点,蓄積された通達,通知の問題点を洗い直し,総ざらいしてから,初めて法改正,運用改正の必要性を幅広く汲み上げ,本格的制度改正を検討すべきだと考えるモノです.

 

 

 

 

 


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