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原発再開を巡る議論について [Social Policy]

私は,3.11の副島原発事故は,安全神話に安住するあまり,政府カラ菅と東京電力の双方に原子力発電所の事故対応についての基礎的な知識が欠落し,現地サイドでも原子力発電装置に付随する無電源でも作動するフェイル・セイフ機能についての知識が欠落していたことから生じた『人災』であった,とこのブログで書いてきました.

しかし,世間の風潮では,大飯原発の再開を巡る議論を見ても,原子力発電そのものが極めて危険なモノだという認識に向かっているようです.
どうして人々は近く公表される3つの事故調査委員会の最終報告を待とうとしないのでしょうか.

私は,あれだけの1000年に1回といわれる大震災,大津波でも,当事者の原子力発電装置の機能構造についての無知,無防備がなければ,最悪のメルトダウンは防げたはずだと考えるのです.

第1には,福島原子力発電所は,東京電力が関東へ電力を送ることだけを考えて,地元の電力会社と無縁に作られていたことに重大な問題がありました.
たとえ現地の全電源が失われても,もし予め地元電力会社と密接な関係が作られていれば,速やかに電源車を空輸してでも最低限の電源を確保できたはずです.
しかし,実際には,はるか離れた東北電力の高圧電線から電源を導入するのに,1週間以上を浪費したのです.

第2に,福島原子力発電所も東京電力本社も,原子力発電装置のフェイルセーフ機能非常用復水器IC)2 系統(A 系、B 系,いずれも無電源でも作動する)の機能や活用方法について,ほとんど無知ないし未習熟であったことです.
この非常用復水器を正常に作動させていて,その間に速やかに消防車を使った注水を始めていれば,メルトダウンは回避できた可能性が極めて高いと思われるのです.

この点について,東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会 中間報告・全文から,まとめの部分で言及している内容を,原文のまま以下に引用して置きます.

要するに,1000年に1度の大地震,大津波にもかかわらず,原子力発電装置は Fail safe フェールセーフ機能を備えており,東京電力や「俺は原子力に強いんだ」とうそぶいたカラ菅(東京工大出身)や取り巻きが,もしきちんと事態に対処していれば,メルトダウンは起こらなかった可能性が高く,今回の原子力災害はまさに天災ではなく人災だったというべきだと考えるモノです.

原子力の安全神話を裏切ったのは,天災でも原子力でもなく,まさに関係者の無知と無習熟だったのです.

「ECCS、Emergency Core Cooling System、(緊急炉心冷却装置)は、水を冷却材として用いる原子炉の炉心で冷却水の喪失が起こった場合に動作する工学的安全施設である。炉心に冷却水を注入することで核燃料を長期に渡って冷却し燃料棒の損壊を防止する。ECCSの作動は原子炉の停止を意味する。

冷却材に水を使う動力炉では、炉心を冷やす冷却系統の配管が破断するなどして冷却水が喪失すると、炉心の熱密度が高いため、スクラムと呼ばれる制御棒の一斉挿入による原子炉の緊急停止を行なっても、炉心の余熱と放射性物質の崩壊熱による高熱で炉心が破損・溶解する危険性がある。ECCSは原子炉圧力容器に水を注入することで、炉心を冷却し破損を防止する。

機能として,ECCSは、炉心の冷却と原子炉圧力容器内の減圧という2つの機能を備えている。」

ストレス・テストなどと面倒なことをいう前に,原子力発電所のフェールセーフ機能についての学習と習熟度を速やかに高度化することから再出発するのでなければ,国内でここまで喪われた日本の科学技術力への信頼度は,世界的にも回復不可能になるのではないでしょうか.
アメリカは今後も電子力発電所を増設する方向ですが,それはアメリカが日本で起こったような科学的無知からのレベル7の大惨事は,アメリカなら十分に防止できると考えているからだというべきでしょう.

現に,これまでの原子力発電所の大災害,アメリカのスリーマイル島もロシアのチェルノブイリも,いずれも操作みすという人災によって起こった事故であったのです.

今回の日本の事故とその事後処理状況は,わが国の2流国化,3流国化への道をさらに加速化することになるのではないかと大いに危惧するモノです.

カラ菅についての最近の民間事故調の報告に対するアル識者は,
よくもまあ、日本国民もこんなばかな首相をいただいたものだ。私の知る限り、歴史上最低の首相じゃないですか

これは原子炉復水器の専門家として、昨年3月11日の事故発生直後から首相官邸に助言・提案を行っていた上原春男・元佐賀大学長の参考人聴取を見ての感想だそうです.

 

 

4 福島第一原発における事故後の対応に関する問題点
(中間報告)

3 11 日の地震及び大津波の来襲を契機に、福島第一原発では、1 号機、2 号機及び3 号機の各原子炉並びに1 号機から6 号機までの使用済燃料プールが冷却不能に至るという深刻な事態に陥った。
これに対する東京電力
の対応の問題点ついて、当委員会は、現在、集中的に調査・検証を続けており、その全体は最終報告で取り扱う予定である。
ここでは、
1 号機及び3
号機に関わるものについて、現時点で判明した問題点を指摘する。

(1)1 号機のIC (非常用復水器(IC)2 系統(A 系、B 系))の作動状態の誤認に関する問題点
a IC の機能等についての認識不足及び運転操作の習熟不足
福島第一原発1 号機に備わっているIC が、実際には機能不全に陥っているにもかかわらず、正常に作動していたと認識されていたことは、既にⅣ章において指摘したとおりである。この点に関して、当委員会は、仮に、東京電力の本店を含めた技術関係社員がIC の基本機能に関する知識を十分に持ち合わせていれば、全電源喪失直後には、いわゆるフェイルセーフ機能によってIC 隔離弁が閉状態になる可能性が高いことに気付くのが自然であったと考える。また、3 11 16 42 分頃から同日16 56 分頃までの間に原子炉水位が低下傾向を示したことや、同日17 50 分頃には1 号機の原子炉建屋付近が高線量であったためにIC の起動確認ができなかったことなど、IC が正常に作動していないことを示す徴候が現れていた。これらを考慮すれば、IC の全ての隔離弁が全閉あるいはそれに近い状態となっておりIC が機能していないこと、ないしは、その可能性が極めて高いことに気付く必要があった。しかし、福島第一原発の当直、発電所対策本部及び本店対策本部の誰もがそのような認識に立った適切な現場対処(その指示を含む。)を行わなかった。もっとも、当直は、同日18 18 分頃、制御盤上の状態表示灯の一部復活及びこれに伴う2A 弁及び3A 弁開操作を契機に、IC が作動していないのでないかとの疑いを持ち、発電所対策本部に報告・相談を行っている。しかし、当直からの趣旨説明の不十分さと相まって、発電所対策本部は現状認識を変えることはなかった。発電所対策本部は、この報告・相談を、むしろ全電源喪失前(津波到達前)のIC 弁操作がそのまま継続しており、その一環としての弁操作である、と捉えてしまうという誤判断を行ったと考えられる。

福島第一原発で事態の対応に当たっていた関係者の供述によると、訓練、検査も含めてIC の作動を長年にわたって経験した者は発電所内にはおらず、わずかにかつて作動したときの経験談が運転員間で口伝されるのみであったという。さらに、IC の機能、運転操作に関する教育訓練も一応は実施されていたとのことであるが、今回の一連の対処を見る限り、これらが効果的であったとは思われない。以上のとおり、当直のみならず、発電所対策本部ひいては本店対策本部に至るまで、IC の機能等が十分に理解されていたとは思われず、また社員がその運転操作について習熟していたともいえない。非常時において、炉心損傷を防ぐ手段として冷却を行うことは、何よりも優先事項のはずである。そうした重要な役割を果たすことが期待されるIC の機能や取扱方法に関する社内の現状がこのような状況にあったことは、原子力発電所を運営する原子力事業者として極めて不適切であったというしかない。

1 号機対処への影響
IC が機能不全に陥ったことから、1 号機の冷却には一刻も早い代替注水が必須となり、加えて注水を可能とするための減圧操作等が必要となった。実際に、1 号機において取られた措置は、主として消防車による代替注水及び格納容器ベントであるが、既に述べたとおり、それぞれ3 11 17 時頃及び12 日零時頃に準備指示が出されたにもかかわらず、開始されたのはそれぞれ同日4 時頃及び14 時頃であった。つまり、実施までに大幅に時間を要し、炉心冷却に遅延を生じさせてしまったのである。IC の作動状況の誤判断がそうした遅れを生んだ大きな要因となったと考えられる。

全電源喪失という非常事態においては、何を差し置いても炉心冷却のための措置を取るべきことは明白であるにもかかわらず、発電所対策本部及び本店対策本部は長時間にわたりIC の作動状況を誤認し、そのため代替注水を急がせなかったのみならず、格納容器ベントの指示発出も遅くなった。
換言すれば、
IC の作動状況の誤認が1 号機への対
処の遅延の連鎖を招いたともいえよう。

c 発電所対策本部及び本店対策本部の問題点
緊急事態時の対応策について、東京電力の「福島第一原子力発電所のアクシデントマネジメント整備報告書」(平成14 5 月)には、「より複雑な事象に対しては、事故状況の把握やどのアクシデントマネジメント策を選択するか判断するに当たっての技術評価の重要度が高く、また、様々な情報が必要となる。このため、支援組織においてこれら技術評価等を実施し、意思決定を支援することとしている。」と記載されている。つまり、支援組織である発電所対策本部の情報班、技術班、保安班、復旧班、発電班等の機能班は、必要な情報を十分把握して技術評価を実施し、当直長に対して助言や指示を行うことが期待されていた。換言すれば、支援組織は、炉心冷却機能を果たすことが期待されるIC 作動状態に関する情報が、当直から入ればこれに基づきIC の作動状態を適切に評価し、反対に情報が入らなければ、当直に連絡を取って積極的に情報を収集することが求められていたが、そうした役割は果たさなかった。また、本店対策本部においても発電所対策本部に対応する機能班が置かれていたことから、それぞれの担当班が、テレビ会議システム通じて重要情報を収集し、事故対処に追われる発電所対策本部から一歩引いた立場で冷静に情報を評価し、その上で発電所対策本部を支援することが期待されていた。しかし、本店対策本部において各機能班の役割が発揮され、本店対策本部から発電所対策本部に対して適切な指示が行われたような形跡は認められない。前記aで述べたIC の機能等についての全社的な認識不足が主たる原因であろうが、本店対策本部及び発電所対策本部の両者とも原子炉冷却の遅れという重大な問題に対して、効果的な助言・指示を行うことができなかった。

(2)3 号機代替注水に関する不手際
a 代替注水の手順の誤りと発電所における情報共有体制の不備
3 12 15 36 分頃に1 号機の原子炉建屋が爆発して以降、それ以前に増して各号機の炉心冷却の継続が最優先課題となった。ある一つの方法による注水に問題が生じた場合には、間髪を入れずに、他の方法による注水に切り替えることが必要不可欠であった。現場では、原子炉圧力が低い状態下で運転範囲を下回る回転数で長時間高圧注水系(HPCI)を運転していたため、当直がHPCI による十分な注水がなされていないことを懸念し、3 13 2 42 分頃にHPCI を手動停止した。
この時、当直は、十分な代替注水手段が確保
されていないにもかかわらず、バッテリー枯渇リスクを過小評価しており、結果として代替注水のための減圧操作に失敗した。さらに、これらの措置について、発電所対策本部発電班から幹部社員への事後報告が遅れた。
これらの事情により、結果的に
13 9 25 分頃まで代
替注水が実施されなかったことは、極めて遺憾であったと言わざるを得ない。
加えて、このような判断を3 号機当直及び発電所対策本部発電班の一部のスタッフのみで行い、幹部社員の指示を仰がなかったことは、危機管理の在り方という点でも問題であった。
仮に、
HPCI を手動停
止したとの情報が発電所対策本部のレベルで共有されていたとしたら、十分な代替注水手段が講じられないままHPCI を手動停止するといった当直等の誤った措置も、早期に是正し得た可能性があったと考えられるからである。

そのような判断を現場の一部の社員のみで行ったことについて、福島第一原発関係者によると、当直は、責任感が強い反面、できる限り自分たちだけで問題解決を図ろうとして報告が遅れがちな傾向にあるとのことであるが、そうであるとすれば、そのような慣習は改められる必要がある。

b 早期代替注水に係る発電所対策本部の危機感の欠如
全交流電源喪失の下では、バッテリー系の電源はいずれ枯渇せざる476を得ない。いくら混乱の中にあったとはいえ、全交流電源喪失から1日以上経過した3 13 日未明には、3 号機のHPCI や原子炉隔離時冷却系RCIC)等の作動に必要なバッテリーの枯渇について、福島第一原発関係者は懸念してしかるべきであった。
そうした懸念があれば、
発電所対策本部としては、HPCI 等の作動に安住することなく、消防車を利用した早期の代替注水に取り掛かることも可能であったと思われる。また、12 日未明には、がれきの撤去も完了したことで5 号機、6 機付近に放置されていた消防車を使用することも可能であったし、減圧のための主蒸気逃がし安全弁(SR 弁)操作に必要なバッテリーの調達も可能であったと考えられる。
しかし、発電所対策本部は、その時点では、代替注水手段として電源復旧によるホウ酸水注入系からの注水という中長期的な対処手段以外に準備・検討しておらず、3 号機当直からHPCI 手動停止後のトラブルの連絡がなされるまで、消防車を用いた代替注水に動くことはなかった。

この点について、福島第一原発関係者は、当委員会に対して、「当時はそのような発想がなかった。」と述べているが、2 号機についてはRCIC 停止前の13 12 時頃、吉田所長が代替注水準備の指示を行っていることから、事態さえ正確に把握していれば、3 号機についてHPCI 停止前からそうした対応はできたはずである。

発電所対策本部に3 号機代替注水に係る必要性・緊急性の認識が欠如していたことが、こうした対応の遅れを生んだと言わざるを得ない。

(3)1 号機及び3 号機原子炉建屋における爆発との関係
1 号機及び3 号機原子炉建屋における爆発は、炉心が損傷したことにより大量に発生した水素が各原子炉建屋内に充満したことに起因するものと考えるのが自然である。ところで、より早い段階で1 号機及び3 号機の減圧、代替注水作業を実施していた場合に爆発等を防止し得たか否かについては、実際に、より早期に注水できるような態勢にあったのか、その時点で炉心の状態がどうであったかなど、不確定の要素を確定した上でないと判断できないため、現時点で評価することは困難である。
ただし、仮に、より早い段
階で減圧ができ、消防車による代替注水が順調に進んでいれば、実際の対応に比べ、炉心損傷の進行を緩和し、放出された放射性物質の量も少なくなった可能性があると考えられる。

 

追記 

東京電力が社内検証の福島事故調査報告書を公表しましたが,このいい加減な調査報告について,政府原子力委員会の近藤委員長は分析が不十分な点として、
緊急時に通常の手順で1号機の非常用復水器を操作したことを挙げ、「緊急時にとる手順ではない。考えられない。どういう教育なのか」と批判。したと報じられています


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